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議会レポート

子どもや高齢者が安心して暮らせる春日市に

2020年3月議会

3月議会で審査された主な議案に対する反対討論

吉居恭子の反対討論

3月議会は、新型コロナウィルス感染症の影響で一般質問の中止、本会議、委員会ともに傍聴中止となる異例の議会となりましたが、令和2年度予算案ほか各議案は賛成多数で承認・可決されました。この中で、反対討論を行った議案についてその理由を明記します。

また、緊急事態宣言を受け、4月(閉会中)の常任委員会(総務文教委員会・市民厚生委員会・地域建設委員会)も中止となっています。

市の新型コロナ対策会議の報告を受けながら議論し、皆様の声を届け要求していきます。

3月議会で審査された主な議案

国保税値上げ条例改正に対する反対討論

第9号議案「令和2年度春日市国民健康保険条例の一部を改正する条例の制定について」反対の立場で討論をします。

この議案は、国民健康保険税の財政運営の県単位化に伴い、各自治体で行ってきた国民健康保険事業に対する一般会計からの法定外繰り入れを解消するため保険料率を改定することで、税率を段階的に標準保険率に近づけるための条例改定であります。

国は令和2年度より、法定外繰り入れを徹底的に解消するため、都道府県と市町村に対して、「保険者努力制度」を使った新たなペナルティを導入しています。 法定外繰り入れをやめた市町村を加点した上で、継続する市町村は減点し予算を削減します。都道府県にも市町村を指導する義務が課せられ、減点により予算を削減することで、市町村に圧力をかけざるを得ない状況へ持ち込むようです。

しかしながら、こうしたもとでも、引き続き法定外繰り入れは、自治体の判断で継続することは可能で、6割を超える自治体が据え置くという調査報告もあります。また、ペナルティーのない子どもの均等割の減免を行う自治体も増えていると聞きます。

国民健康保険料が高いのは加入者の構造的な理由からであり、昨年10月の消費税増税、今年に入ってからの新型コロナウィルス感染拡大に伴う事業縮小などで疲弊した家計状況の中で、大幅な値上げをするべきではないと考えるのが反対の理由です。

春日市においては、国に対し公費投入の抜本的増額を求めるとともに、経営不振や失業、病気など様々な理由で支払い困難に陥っている市民に対して、これまで以上に丁寧に相談に応じ、減免や支払い猶予など検討して頂きますよう要望致しまして、反対討論とします。

一般会計予算反対について

2020年度政府予算案は、消費税増税で深刻な打撃を受けている国民のくらしや営業には目もくれず、456兆円もの内部留保をためこむ大企業や富裕層を優遇したものであり、軍事費は19年度補正予算で4千億円も追加した上に、8年連続増額となる5兆3千億円を超える民意に反する予算案となっています。

また、財政が大変だからと消費税を増税しておきながら、中小企業対策費や地方交付税、文教予算も削減され、気候変動への対応が喫緊であるにもかかわらず、国際的な非難を浴びている石炭火力発電の輸出支援予算を継続し、技術的にも展望がない高速炉の開発予算など、国民の願いに反する原発推進にも固執しています。

また、消費税増税分を財源として「少子高齢化対策」を強化すると宣伝していますが、20年度予算では、消費税増税分4兆円のうち、幼児教育・保育の財源規模は8,858億円で、うち3,410億円が国、5,448億円が地方負担とされ、福岡県で119億円、春日市では2億1,134万円の負担となっています。 

高等教育の「無償化」の予算についても、授業料減免が2,628億円、給付型奨学金が2,354億円で、全学生のごく一部分が対象で、幼保無償化の予算と合わせても、8,392億円にしかなりません。

さらに「全世代型社会保障」としながら、社会保障費の自然増分1,200億円を抑制、この8年間で、1兆8,300億円も減らしている計算です。年金についても「マクロ経済スライド」等により、物価に比例した年金の実質価値は、0.3%、約1,500億円分少なくなっています。令和2年度の所得に対する国民負担率は44.6%と最高を更新し、子育て世代にとって、教育費が家計を圧迫していることも合わせると、少子高齢化に対応する予算とは程遠く、消費税が全世代の社会保障のためという理由付けも破綻してしまいます。

さて、春日市の予算についてですが、令和2年度春日市一般会計予算総額は委員長報告の通り、対前年度比7.0%増の356億7721万3千円となっています。

歳入では、自主財源の要の市税は前年度比1.7%、1億5,660万7千円増の132億8,558万6千円で、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた実質的な地方交付税も0.5%、5億1,273万6千円増となっています。

次に歳出ですが、地方公務員法改正により、嘱託職員・臨時職員の会計年度任用職員への移行に伴う給料等の増により4億809万4千円が増えています。会計年度任用職員には、地方公務員法が適用されるため、守秘義務、営利企業への従事制限など職員と同様の義務が課せられ、同様に懲戒処分の対象となり、仕事の成果についても人事評価を受けるなど厳しい条件が加わるというものであります。  

しかしその処遇は、「初めの1カ月は条件付採用となり成績不良の場合は免職となる。成績によっては3年間継続できるが、任用は会計年度まで。職によっては期末手当や退職手当が支給され、通勤手当も職員と同様に支給されるものの、正規職員の約34.8%の人件費しか割り当てられていない」など、同一労働同一賃金とは程遠い不平等なものとなっています。

春日市の正規職員の割合は、全国1位の少なさで、類似団体の中で比べると、財政規模の補正をしても、行政職で人口1万人当たり平均45人の所32人と突出して少なく、自然災害や今般のウィルス感染症対策などにおいても、その機動力や、市民に対する細やかなサービスなどに支障をきたす恐れがあるものと再考を求めます。

放課後児童健全育成事業費についてですが、前年度比約12%、2,062万8千円の減、指定管理料としても1,746万3千円減らされています。令和2年度には指定管理者がNPO法人から民間企業に変更されるため、これまでなかった企業利益が発生するわけで、子どもの保育に関わる人件費など実質経費はさらに少なくなることから、保育の質の担保が危惧されるところです。4月からの開所に際しては、利用者である子どもや保護者の声に耳を傾け、学童保育の質の低下がないよう、しっかりとしたチェック態勢をとり、行政としての責任を果たして頂きたいと思います。

直営保育所一元化事業予算では、須玖保育所から公私連携保育法人への引継ぎのため約4616万円が計上されていますが、周知のとおり、他自治体と比べても特別支援学級への通級児童が増えている春日市において、発達障害における最も大事な時期である幼児期の支援が縮小されるというのは納得がいきません。公立保育園の運営が国の財政支援を受けられない事を考えても、自治体の責任を果たすという意味で再考を求めます。

次に、学校図書館支援事業です。令和2年度より、中学校司書が民間委託となりますが、正規職員と同等の義務を課されている小学校司書の会計年度任用職員に対し、企業からの委託職員が公教育の場で子どもの教育にあたるという事は、近隣自治体が読書教育に力を注ぎ、自ら職員を配置していることを考えても、「教育の春日」の看板を掲げている自治体としては再考して頂きたい事です。

春日市には同和地区がないのに、同和団体への補助金支出は承服できないものですが、それでも3年に一度10%の削減をする約束は実行してこられました。しかし、今回見直し年度であるにも関わらず、本年度の2団体454万円から全く削減となっていません。春日市民の多くが参加する「社会教育団体育成費予算」は352万5千円、新成人1,200人以上が対象の、一生に一度の成人式は、全員が入れない会場で、総額260万9千円で行っていることを考えても、おかしいと思います。市として予算配分の改善を求めます。

令和2年度予算には、転入転出の多い春日市民のための異動受付支援システム導入、子育て支援センターへの発達支援室整備、基幹相談支援センター事業、小中学校トイレ改修事業など、市民の立場に立った春日市独自の施策を展開されていること、さらに極めて健全な財政運営であることは本当に素晴らしい事と思います。市内には、老親の介護で離職を余儀なくされた労働者、非正規雇用で経済的困難を抱える若い子育て世代、引きこもり家族を抱えた高齢世帯などが、昨年10月からの消費税増税に今回の新型コロナウィルス問題など、過重な困難を抱えて生活しています。

国の政治が厳しい時、市民の暮らしを守るのが地方自治体の仕事です。昨今の社会情勢・経済状況に合わない、政府の新自由主義に基づく施策誘導に惑わされない財政運営を要望致しまして、私の反対討論を終わります。

「令和2年度春日市国民健康保険事業特別会計予算について」反対討論

令和2年度の国民健康保険事業特別会計予算の歳入では、これまで所得に比べて割高の国保税が、今回大幅に値上げされての予算です。世帯別の税額改定表では、40代親子3人、給与所得346万円の世帯で、71,200円もの値上げで、その結果、月額4万4,341円の保険税を払わなくてはなりません。

同じく協会けんぽでは、同様の世帯の保険料は月額21,000円程度です。子どもの均等割を減免する自治体も次々に出ています。国民健康保険税というのであれば、働くことのできない子どもから徴収することは、本来できないはずです。

春日市に置かれましては、国民健康保険事業特別会計において、国に対し公費投入の抜本的増額を求めるとともに、子育て支援をする視点から、せめて法定外繰り入れでペナルティーのない子どもの均等割の減免について検討して頂きますよう要望致しまして、反対討論とします。

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