この議案は、3年に1度の介護保険料改定に当たり、保険料を値上げするものです。
介護保険制度は平成12年に開始され、それまで措置制度の下で、その9割に負担がなかった高齢者福祉サービスが有料化され、40歳以上の国民は保険料を負担することになりました。
制度開始時の第1号被保険者の保険料の基準額は2,828円でしたが、今度の改定で5,950円と2.1倍以上に膨れ上がり、年額にすれば7万1,400円という額になります。
また、第1号保険者の中心的生活の糧である年金額の引下げ、さらには、後期高齢者医療費の窓口負担の増額、介護保険料の利用者負担増など、生活に使える金額は減るばかりです。
厚労省の平成30年度の厚生年金保険・国民年金事業の概況のデータによると、厚生年金の平均年金月額は14万3,761円です。男女別で見ると、男性の平均年金月額16万3,840円に対し、女性は10万2,558円です。75歳以上の女性の独り暮らしであれば、後期高齢者医療保険料は1万2,520円。軽減後の介護保険料は4万9,980円で、合わせると月額5,221円となり、年金からこれを引くと、収入は9万7,349円となります。さらに、国民年金受給者では、基礎年金の平均年金月額は5万5,708円です。
このように、日本の高齢者の3人に2人は住民税非課税という状況です。非課税の意味するところは、その所得が生活を維持する最低限の金額だからであり、そうした高齢者からは、保険料も利用料も取るべきではないというのが本来の考え方ではないでしょうか。
今後、高齢化社会がさらに進行するに伴い、介護需要は増加し、現在の仕組みのままでは、介護保険制度は行き詰まってしまいます。
財政負担を国民と地方自治体に転嫁してきた国の責任が問われており、現在25%の国の負担を元の50%に戻すことが求められます。
地方自治体においても、負担能力を超えている保険料を抑えるために、一般財源を投入し、高齢者を支えている自治体もあります。
保険料を据え置くための施策もなく、料金の引上げを行うこの議案には反対です。
なお、第19号議案「春日市介護保険事業特別会計予算について」も、介護保険料の値上げが含まれているものであるため、反対といたします。