吉居恭子の反対討論
私は、第48号議案「令和３年度春日市一般会計歳入歳出決算認定について」、反対の立場で討論を行います。
決算審査特別委員会委員長の報告のとおり、令和３年度歳入決算額は440億15万円、歳出決算額は415億2,081万4,000円であり、歳入歳出差引額は24億7,933万6,000円、これから令和４年度へ繰り越すべき財源２億3,937万7,000円を差し引いた実質収支は、令和２年度の12億2,400万円に対し、令和３年度は22億3,995万9,000円と大幅な黒字となっています。
次に、歳入の決算額は、前年度に対し約73億2,000万円もの減収となっていますが、地方交付税、繰越金及び地方消費税交付金などが増加した一方で、令和２年度に給付された国民１人当たり10万円の特別定額給付費国庫補助金等や市債、繰入金及び諸収入などで大幅に減少したことによるもので、市税収入をはじめ自主財源の基盤は安定しています。歳出の決算額も、前年度に対し約76億6,000万円の減となっており、歳入歳出を比較しただけでも、令和２年度より差引額は多くなっています。財政指標や四つの健全化判断比率、実質公債費比率についても、これらの指標に基づく本市の財政運営は健全と言えます。
一方で、基金の積立金現在高は156億8,397万1,000円と、前年度に対し19億6,389万9,000円の増額に、地方債も、前年度に対し４億6,385万9,000円減額できています。結果として、令和３年度決算では、丸２年となったコロナ禍の中でも22億3,995万9,000円の黒字と19億6,389万9,000円の基金積立てとで、42億385万8,000円、収入の約9.6％を使わずに残すことができ、借金も４億6,000万円返せたという計算です。
令和３年度のかすがふるさと応援寄附金推進事業については、他自治体、住民から本市への５万440件、５億1,069万円のふるさと納税に対し、プロモーションや、申込みと返礼品手配等の業務委託料などで３億407万7,000円の経費がかかり、実質２億661万3,000円の寄附金収入となるということでした。しかし、令和３年度中に春日市民より他自治体へのふるさと納税分が市税から２億8,000万円控除されるため、実質7,338万7,000円の赤字となり、報告にありましたとおり、目的を本市の応援する寄附者を増やすとともに、返礼品の提供を通じて本市のＰＲと市内事業者の振興を図るとしか言いようのない制度です。自治体の自主財源である市税に外から手をつけるような様々な問題が山積する矛盾した制度となっており、これに対しては、国に対し制度の見直しを求めるべきではないかと考えます。
令和３年度の事業報告をお受けする中では、コロナで自宅療養、隔離を強いられている市民への食料や生活物資配達支援の継続、コミュニティ・スクール事業における民育、期日前投票所をふれあい文化センターにも整備する事業をはじめ、市政全般について様々工夫されて、効果的な政策が実施されていることを確認いたしました。ありがとうございます。
しかしながら、長引くコロナ禍にあって、中小企業の事業主や宅配など個人事業主、非正規労働者の皆さんは、倒産や収入減でとても厳しい生活を強いられておりました。営業で訪問しても、コロナ禍もあり、入ってくるなと言われる。いよいよ事務所維持費等の支払いができなくなり、事業再開の希望を持って受けた持続化給付金のほとんどを破産手続の費用に充てたという方もおられます。破産手続開始から終了までの五、六か月間ですけど、公の貸付けも受けられないので本当に大変な半年間を過ごされていました。そうした人がいることに気づかないのか、令和３年度の新型コロナウイルス対応地方創生臨時交付金、約４億4,600万円余りの実施報告を見ますと、新生児臨時特別定額給付金や妊産婦応援タクシー料金助成事業などにも使われておりますが、自由度があるため様々な事業に充てられています。上下水道基本料金の数か月間の免除や給食費助成など、他自治体に見られるような市民に対する市独自の生活支援策はなかなか見当たりませんでした。滞納者に対する差押えもコロナ前と同じく行われている一方で、19億円を超す基金の積立額です。
見ようとしないと見えませんが、コロナ禍で生活に困窮した市民は多数おられます。そうした市民が本当に助かるような、春日市に住んでよかったなと思えるような使い方をもっとすべきだったのではないかと考えますので、私はこの議案に反対します。
以上です。
