ホーム議会レポート一般質問「医療的ケアを必要とする児童の就学前教育について」

議会レポート

子どもや高齢者が安心して暮らせる春日市に

2022年3月議会

一般質問「医療的ケアを必要とする児童の就学前教育について」

吉居恭子の一般質問

問)吉居

医療的ケアを必要とする児童の就学前教育について。幼児教育の重要性が言われて久しく、保育園、幼稚園に限らず特に就学前教育はどの子にも必要なものだと思います。本市における就学前教育についての認識と、その具体的な取組みは。

答)

就学前教育とは、小学校入学前の子どもが通う施設で行われる取組のうち、教育的観点の下で整理されたものであり、保育の観点からは就学前保育と表現されています。当然のことながら、就学前教育・保育を実施する施設としては、幼稚園や認定こども園、保育所などが当たります。対象とする年齢が保育所のほうが幅広いという違いがあるにせよ、保育所保育指針、幼稚園教育要領のいずれにおいても、教育に関わる狙い及び内容として、健康、人間関係、環境、言葉、表現の五つの領域が示されています。その領域に即した取組、言い換えれば本市の幼稚園や保育園などが実施する子どもに係る取組のほとんどが、就学前教育または就学前保育に位置づけられており、子どもたちの健やかな成長・発達を促すものであると捉えております。

問)吉居

就学前保育や就学前教育ともに、幼児への生きる力を育む働きかけであり、小1問題にも深く関係すると言われています。文部科学省の「幼児教育の意義及び役割」によると、「幼児期の発達の特性に照らした教育とは、受験などを念頭に置くようないわゆる早期教育とは本質的に異なり、目先の結果のみを期待しているのではなく、生涯にわたる学習の基礎をつくること、後伸びする力を培うことを重視している」とあります。

以前相談を受けた親子3人暮らしの男児は、5歳まで保育所にも幼稚園にも行かず、母親と二人、狭い一間のアパートで毎日を過ごしていました。子どものためにと、ハローワークの就労支援を受けて母親が就職し、小学校入学1年前にして初めて同年齢の子どもたちと過ごし、小さなけんかや感情の行き違いなども経験しながら、保育士さんの専門的な関わりの中で、心身ともに大きく成長していく姿を見ました。このように、小学校入学前の幼児教育、就学前教育は、児童の心身の発達と成長に大きな意味を持つものです。それでは、医療的ケアを必要とする児童への就学前教育についてお尋ねします。医療的ケア児にとっても就学前教育は必要なものと考えますが、市のお考えはどうですか。また、現時点での支援についてはどうなっているのか、お尋ねします。

答)

子どもが生まれて小学校に入る前の間に、基本的な生活習慣や生活能力等を身につけることは大切であり、まず第一に、家族の触れ合いや愛情を通してなされるべきものだと思っております。任意の通園施設としての幼稚園や保育所等が通っている就学前教育が必要かどうかについては、医療的ケアの有無にかかわらず、それぞれの御家庭が判断すべきものであると考えているところでございます。医療的ケア児に係る支援については、令和3年6月に成立し9月に施行された、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律の趣旨にのっとり、本市において、認可保育所での医療的ケア児の受入れを試行的に行うべく、市直営の昇町保育所に看護師を配置できるよう、令和4年度当初予算に計上しているところです。

問)吉居

令和3年法律第81号、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律の中で、その基本理念などを要約させていただくと、「医療的ケア児が通常の幼稚園や学校で教育を受けられるよう最大限に配慮し、医ケア児とその保護者の意思を最大限に尊重し、全国どこにいても等しく適切な支援を受けられるようにすること」と書いてあります。法律ができただけでその具体的な施策はこれからだと言われるかもしれませんが、子どもは日々成長するものであり、待ってはくれません。市長が言われる市民サービスの公平性からいっても、医療的ケア児への就学前教育の支援をすることはできると思います。

来年度予算で、市直営の保育所に、医療的ケア児受入れの看護師配置を試行するとのこと、とてもすばらしいことだと思います。しかし、喀たん吸引など医療的ケアの種類によっては、家庭において昼夜なくケアを行う必要もあり、保護者が就労することができず、保育所入所の対象とならない場合もあります。そして、本市には医療的ケア児が入れる幼稚園がありません。そこで、市外の地域に受け入れてくれる幼稚園があり、通うこととなった場合、交通費の補助など支援のお考えはありませんか。

答)

幼稚園に関しましては、福岡県の管轄でございます。市外の幼稚園、保育施設に通園するための交通費補助等などの施策を市独自で行う、そういった考えについては現在のところ持ち合わせてはございません。まずは、市が管轄している認可保育所の環境を整備することが第一であると捉えているところでございます。

問)吉居

御存じと思いますが、三重県松阪市では、昨年8月に医療的ケア児通院等交通費助成が始まったそうです。その内容を見ますと、1キロ当たり何円というガソリン代が予算化されています。ぜひ春日市においても検討していただきたいと思います。最後に、市内小学校においては、車椅子使用の児童のためにエレベーターが設置されているところがあると聞きます。医療的ケア児の受入れについては、看護師などの人員の配置など必要とするため簡単ではないと思いますが、教育委員会としては現時点でどのようにお考えなのかお尋ねを致しまして、私の一般質問を終わります。

答)

小学校・中学校における医療的ケア児の受入れについては、市教育委員会といたしましては、法の基本理念にのっとり、医療的ケア児を支える体制を整備するため、福祉支援部の関係各課と協議を行っております。医療的ケアに従事する人材の確保、入学する可能性がある医療的ケア児の情報の早期把握、医師その他の専門士を交えた相談、検討、協議ができる体制の構築などの課題を踏まえ、関係各課で検討しながら準備を進めたいと考えております。

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